日本コカ・コーラオリンピック専門チーム4人とコカ・コーラ社ボトルドリンク5本

[日本コカ・コーラ オリンピック専門チームの仕事の流儀]「オリンピック」の価値をどうプロモーションで伝えていくか

 日本コカ・コーラオリンピック専門チーム4人の写真と彼らの仕事の流儀を紹介するコピー

日本コカ・コーラでは、来る東京2020オリンピックに向けて専任のチームが組織され、開催に向けた取り組みを進めています。このオリンピック専門チームの取り組みを追う本記事では、コマーシャルプランニング部にフォーカス。コマーシャルプランニング部は、ボトラー社であるコカ・コーラ ボトラーズジャパンからの出向メンバーで編成されています。そのミッションは、オリンピックアセットを活用して、コカ・コーラシステムの本業である飲料市場を成長させ、ビジネスを拡大、そして1つでも多くのレガシーを残すアクションプランを企画すること。“TOKYO2020”ではなく、“JAPAN 2020”として考えていくことを目指す、今回の東京2020オリンピック専門チームを象徴する部門です。今回は、その取り組みを紐解くべく、11月11日からスタートしているプロモーションに携わっている渡邉真琴と草間梢子、そして、プロモーションのパートナーであるパナソニックから、東京2020オリンピック・パラリンピック推進プロジェクトでBtoB事業担当の巻田友和さん、家電などBtoC事業担当の古長亮二さんの4名による鼎談を行いました。

文=『Coca‑Cola Journey』編集部

写真=村上悦子

グローバルでも初の試みであるボトラー社とのタッグによる部署

 日本コカ・コーラオリンピック専門チーム2人(巻田さんと古長さん)がペットボトル・ドリンクを前に座っている写真

日本コカ・コーラオリンピック専門チーム コマーシャルプランニング部の渡邉(左)、草間(右)

──前回のオリバーさんのインタビューで「ボトラー社であるコカ・コーラ ボトラーズジャパンからのメンバーが加わったチーム作りは、グローバルでも初の取り組み」とおっしゃっていましたが、まさにコマーシャルプランニング部は、そのコカ・コーラ ボトラーズジャパンからの出向メンバーが在籍している部門なんですよね?

渡邉 そうです、東京2020に向けて設置された部署です。日本のコカ・コーラシステムでは、日本コカ・コーラがマーケティングや企画を担当し、各地のボトラー社が製造と販売を担当しています。東京2020オリンピックでは全国のボトラー社が一体となり日本全体を盛り上げていくために、その要となるチームとしてコマーシャルプランニング部が生まれました。コマーシャルプランニング部は、オペレーション計画を策定するオリンピックオペレーションチーム、カスタマーとの関係構築をサポートするホスピタリティプランニングチーム、そしてチャネルプランニングチームの3つの部門に機能を分けています。

草間 渡邉と私はその中のチャネルプランニングチームに所属しています。チャネルプランニングチームでは、自動販売機、スーパーマーケット、E&D(レストランやホテルなど)など主に3つの販売チャネルの企画を行っています。私はスーパーマーケット、ドラッグストア、駅の売店など、手売りのチャネルを担当しています。わかりやすい例でいうと、コカ・コーラ社製品を買っていただいたお客様に、抽選で景品が当たるというプロモーションなどを展開しています。

──11月11日からは、日本コカ・コーラとパナソニックによる東京2020オリンピックのコラボプロモーションが始まりましたが、プロモーションの詳細と実現の経緯について教えてください。

草間 以前から、オリンピックのプロモーションでは景品として、パナソニックさんの製品を採用させていただいていました。今回は特に日本全国を盛り上げたいと強く考えていて、共に東京2020オリンピックのパートナーである2社がしっかりとタッグを組んでプロモーションをしたほうが相乗効果を生み出せるのではないかと思い、こちらからご提案させていただきました。

私たちの要望としては、主に2つありました。景品には東京2020オリンピック・パラリンピックの公式テレビである「4K VIERA」を採用させていただきたい、ということがひとつ。それから、パナソニックさんが実施している「Beautiful JAPAN towards 2020」*1(以下「BJ2020」)というプロジェクトとのコラボレーションを実現したいという事でした。日本全国を取材している「BJ2020」を活用し、今回のプロモーションを地域密着のプロジェクトにしていくことを提案させていただいたんです。

古長 2014年から始まった「BJ2020」は、東京だけでなく、日本全国でオリンピックを盛り上げていこうというプロジェクトです。他のスポンサー企業とコラボレーションすることを夢に見つつやってきました。今回、我々と同じ想いを持った日本コカ・コーラさんから声をかけていただいたので、プロモーションの拡大ということ以上のメリットを感じられました。

*1 Beautiful JAPAN towards 2020

47の都道府県を訪ね、東京2020オリンピック・パラリンピックをめざすアスリートたちを紹介するとともに、各地の美しい風景をパナソニックの4K映像で収めることで、日本の美しさを再発見していく、パナソニックのプロジェクト。

 日本コカ・コーラオリンピック専門チーム コマーシャルプランニング部の渡邉(左)、草間(右)

日本コカ・コーラオリンピック専門チーム コマーシャルプランニング部の渡邉(左)、草間(右)

パナソニック 東京オリンピック・パラリンピック推進プロジェクトの巻田さん(左)、古長さん(右)

キーワードは“地域密着”

──従来のオリンピック関連のプロモーションと比べ、パナソニックとコラボレーションすることにより、コカ・コーラ社としてはどんな相乗効果を見込んでいるのでしょうか?

 パナソニック 東京オリンピック・パラリンピック推進プロジェクトの巻田さん(左)、古長さん(右)

パナソニック 東京オリンピック・パラリンピック推進プロジェクトの巻田さん(左)、古長さん(右)

渡邉 やはり“地域密着”ということがキーワードになると思います。我々としては“TOKYO 2020”ではなく、“JAPAN 2020”ということを打ち出していきたかったので、5年以上をかけて全国各地と繋がりをつくってきた「BJ2020」と協業できるというのは、とても大きかったです。

草間 さらに言うと、オリンピック期間中は、多くの方が家庭でオリンピックを観戦します。飲用シーンを広げていくうえでは家庭内での消費機会をいかに増やしていくか、ということが課題のひとつとしてあげられます。今回のコラボレーションでは、「コカ・コーラ」を飲みながらテレビでオリンピックを観戦する、そのような飲用シーンが消費者の方に伝われば良いな、と思っています。

──次にパナソニックのおふたりにお聞きします。オリンピックのパートナーを90年以上にわたって続けてきたコカ・コーラ社とコラボレーションしたことで、オリンピックというアセットの活用に関して参考になったことはありましたか?

巻田 我々も30年以上オリンピックのパートナーですが、コカ・コーラ社さんのグローバル一体となったプロモーションは非常に参考になります。背景にきちんとストーリーがあると感じました。

 日本コカ・コーラオリンピック専門チーム コマーシャルプランニング部の渡邉(左)、草間(右)

古長 47都道府県で地域に密着したプロモーションをするということで、ポスターも47通り用意されましたよね。全国統一のデザインではなく、しっかりエリアごとに分けて用意するというのは、すごく驚きました。

草間 オリンピック関連のプロモーションに“地域密着”という要素を付けると、各地の方が我々の製品を手に取ったときに、「オリンピックは自分の地域にも関連する出来事なんだ」と感じていただけると思うんです。東京の出来事で終わらせるのではなく、当事者意識を持っていただけるというか。そうやって東京2020オリンピックを身近なものに感じていただき、さらにはコカ・コーラ社製品をより身近に感じていただきたいと思っています。

■オリンピックの価値をいかに伝えていくか

──今回のコラボレーションのほか、オリンピックの価値を伝えるためにどんな施策を行なっていますか?

渡邉 日本コカ・コーラではオリンピック聖火リレーもサポートさせていただいているのですが、これは全国を回って行くものなので、“JAPAN 2020”を謳うのにすごく適したコンテンツだと捉えています。そこで「聖火リレーメモリアル自販機」というものを開発しました。聖火リレーが通る街の自動販売機を使って、いつこの街へ聖火リレーがやって来るのかという情報発信をしています。

聖火リレーは各自治体との連携で準備を進めていますが、各地で聖火リレーの情報を発信するツールがないという悩みを抱えてらっしゃったんですね。そこで、消費者の方々との距離が近い自動販売機を情報発信のメディアとして活用することで、日本全国を巻き込んでいきたいと考えています。

 渡邉さん1人の写真

草間 自動販売機の施策では、以前から「JOCオリンピック支援自販機」というものも展開しています。これはコカ・コーラ社製品の売り上げの一部が日本オリンピック委員会(JOC)に、寄付されるスキームになっている自動販売機です。それを今年からはスーパーマーケットやレストランでも拡大展開しています。

──パナソニックは日本コカ・コーラのオリンピック施策についてどう思いますか?

 ペットボトル・ドリンクを前に座り会話する渡邉さんと草間さん

巻田 今までいくつもの大会をサポートさせていただきましたが、どのオリンピック会場でもコカ・コーラ社さんの存在感はひと際目をひきます。それだけコカ・コーラ社さんとオリンピックというものが深いつながりを持っているということだと思いますし、「コカ・コーラ」というブランドが文化の一部になっている証だと思います。

オリンピックをきっかけに何を遺すのか

 コカ・コーラ社製品のボトル5本

──東京2020オリンピックの開催まで残り10カ月を切りました。いよいよ開催が迫ってきた現在、どのようなことを意識されながら日々の活動に取り組んでいますか?

渡邉 オリンピックを“お祭りごと”として捉えるのではなく、ビジネス上のアセットとしていかに活用し、どんな“レガシー”を残すことができるかということは日々意識しています。たとえば、先ほどの「JOCオリンピック支援自販機」では、我々の製品を飲んでいただくことがアスリートの支援につながり、日本のスポーツの発展につながっていきます。オリンピック終了後もこういったスキームを活用し、ビジネスの継続をしていくことが我々のレガシーだと思っています。

それから自治体との連携も大きな“レガシー”になると感じています。我々のアセットを使って各地の課題を解決するお手伝いをすることで、この関係を一回きりのものではなく、2020年以降も継続できるものにしていきたいです。

草間 製品に関しても、今までのオリンピックでは「コカ・コーラ」のブランドしか扱ってこなかったんです。しかし東京2020大会では、幅広い年齢層や嗜好に合わせて5ブランド(「コカ・コーラ」「い・ろ・は・す」「ジョージア」「アクエリアス」「綾鷹」)を主軸にした、様々なプロモーションを実施しています。だからこそ、売り場をしっかりとつくり、オリンピック後も店頭販売の機会が最大化できるように目指しています。

古長 パナソニックは、長年にわたりAV機器などのカテゴリー商品や技術・ソリューションで大会を支えてきましたが、今回の東京2020オリンピックではレガシーとなる「HARUMI FLAG」の開発にも携わっております。大会の後も見据えて、くらしと社会に貢献していきたいと思っています。

そのうえで家電担当の気持ちとしては、大会の感動を映し出すテレビや、心地よく観戦できるエアコンを提供していくということだけでなく、日本コカ・コーラさんの飲料をおいしく冷やせる冷蔵庫がパナソニックにはありますよ!ということを多くのかたにお知らせしていきたいですね。

 日本コカ・コーラオリンピック専門チーム4人が椅子に腰かけている全身写真

<プロフィール>

(左)わたなべ・まこと/2006年に東京コカ・コーラボトリング入社。現在は日本コカ・コーラ 東京2020オリンピック コマーシャルプランニング シニアマネージャーとして、スーパーや自動販売機、料飲店向けにオリンピックアセットを最大限に活用したプランニング及び市場実行の推進を担当。東京2020オリンピックの注目種目は「テニス」

(中左)くさま・しょうこ/2016年にコカ・コーライーストジャパン入社。日本コカ・コーラ 東京2020オリンピック コマーシャルプランニング マネージャーとして、全国ボトラー社の市場実行を促進するためにOTC(手売り)チャネルに特化したプランニングを行っている。東京2020オリンピックの注目種目は「テニス」

(中右)まきだ・ともかず/パナソニック システムソリューションズ ジャパン株式会社 東京2020オリンピック・パラリンピック推進プロジェクト所属。オリンピック関連では、ショウケーシング企画の推進や映像音響設備の企画管理などを行う。東京2020オリンピックの注目種目は「ゴルフ」

(右)こちょう・りょうじ/パナソニック株式会社 アプライアンス社 コンシューマーマーケティングジャパン本部 コミュニケーション部 エンゲージメントプランニング課所属。オリンピック関連では、「東京2020オリンピック・パラリンピック」観戦チケットプレゼントキャンペーン、「Beautiful JAPAN2020」プロジェクト、「エボルタNEOトライアスロン」など東京2020オリンピック・パラリンピック関連プロモーションを総括する。東京2020オリンピックの注目種目は「ラグビー」

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