ザ コカ・コーラ カンパニーの持続可能な農業の原則(PSA)
2021年4月8日
ザ コカ・コーラ カンパニーは、より倫理的で持続可能な農業原料の調達に向けた取り組みを目指している。持続可能な農業の原則(PSA)は持続可能な農業の基本原則(SAGP)に次ぐものであり、環境、社会、経済の基準に基づいた持続可能な農業のために、ザ コカ・コーラ カンパニーが打ち出した最初の原則である。PSAは新製品のカテゴリーを反映するために、動物福祉と畜産を含む分野へ最新の科学と外部のステークホルダーの視点を反映し、可能な限り言葉を簡素化している。
PSAは一次生産レベル(農場など)を対象としており、小規模農家の協同組合、中規模および大規模な商業活動を含んでいる。これらの原則に従って農業基盤のコンプライアンス、透明性、継続的改善を達成するために、サプライヤーの関与継続の基礎を形成する。また、サプライチェーンの生産段階で持続可能な農業を導入するために、業界のプラットフォームや標準化団体との継続的な協働の指針となる。処理段階の農業サプライヤーは、ザ コカ・コーラ カンパニーのサプライヤー基本原則を遵守し、コンプライアンスを実証することが要求される。
PSAは、すべての農業製品および農業品由来の包装材に適用される。「PSAガバナンス・フレームワークと実装ガイド」には、ザ コカ・コーラ カンパニーとコカ・コーラシステムが持続可能な農業に関するビジョンへのコンプライアンスを進めるために、これらの原則を運用するプロセスと基準がさらに詳細に記載されている。
人権と職場環境の権利
人権と職場環境の権利の原則は、農場、関連する工業プロセスおよび物流サービスで働くすべての労働者に適用される。すべてのダイレクトサプライヤー、中間加工業者、生産農場、労働機関は、国際的な人権原則とザ コカ・コーラ カンパニーのサプライヤー基本原則に沿って、人権と以下の原則の尊重が求められている。
1. 集会と団体交渉の自由:労働者が報復を恐れたり、脅迫やハラスメントを受けたりすることなく、労働組合の結成や加入、加入しない権利を尊重する。労働者が法的に認められた組合の代表者である場合、自由に選ばれた代表者と建設的な対話の場を設けて、その代表者に誠意を持って交渉する。
2. 児童労働および強制労働と労働虐待の禁止:すべての適用法令と規定に従い、すべての常任労働者、臨時労働者、季節労働者の最低年齢の規定を遵守する。危険な仕事の最低年齢は18歳であること。囚人労働、契約労働、拘束労働、軍人労働、奴隷労働、あらゆる形態の人身売買を含む、いかなる種類の強制労働の使用を禁止する。身分証明書の保持、人材紹介手数料または過剰な融資条件を禁止する。農場に住む15歳未満のすべての子どもたちは、学校教育を受けることができる。
3. 差別の排除:あらゆる差別(例:ジェンダー、人種、宗教、文化、健康状態)や、身体的、性的、言葉によるハラスメントのない職場環境を維持する。女性、マイノリティ、移民労働者、先住民や部族、その他の弱い立場にある人々が公正かつ平等に扱われること。採用、配置、研修、報酬、昇進の基準は、資格、業績、技能、経験であるべきである。
4. 労働時間と生計:賃金、労働時間、時間外労働、福利厚生に関する法令を完全に遵守して運営する。労働者には、業界および地域の労働市場に見合う報酬を補償する。農家の収入と労働者の賃金は、少なくとも基本所得のニーズを満たすものでなければならず、可能であれば最低生活賃金の推定値と比較して基準にする。労働者は自分のスキルと能力を開発する機会を受け、可能な限り昇進の機会も提供される。
5. 健康と安全:事故、傷害、健康リスクにさらされる危険を最小限にすることで、生産性の高い職場環境を保証する。労働安全衛生上のリスクは健康と安全の管理計画を通して管理される。個人用保護具(PPE)を提供し使用を必須とする。PPEの使用を含む、健康と安全に関する研修を提供する。すべての労働者は飲料水およびトイレと衛生設備が利用でき、医療施設を認識していること。雇用主が提供するすべての労働者の宿泊施設は安全で衛生的であり、国際労働機関の労働者住宅に関する勧告(第115号)に概説された適用基準に沿ったものである。
6. 苦情処理手続きと救済措置:報復の恐れなしに匿名で苦情を表明できるメカニズムを労働者と地域社会に提供し、懸念に対して適時に適切な対処が行われることを保証する。ビジネスと人権に関する指導原則に沿った救済策と苦情処理手続きを確保する。
7. 地域社会と伝統の権利:女性や少数民族など周縁化されたグループへ特に配慮し、土地や天然資源に対する先住民および地域社会の権利を認めて保護すること。該当する場合は、自由意思による、事前の、十分な情報に基づく同意(FPIC)の原則を守ること。地域社会との良好な関係を維持し、地域経済の発展に貢献する。
環境と生態系
農業および畜産業はレジリエンスがあり、環境的に持続可能で、ダメージを最小限に抑え、可能であれば農場内のすべてのエリアと活動において周囲の環境を回復させるものであるべきである。
8. 水管理:農産物が灌漑されている場所で水の使用量と質を測定し、水の使用効率を最大限に高め、排水、浸食、栄養分/農薬の流出による水質への影響を最小限に抑えることで、地域社会と生態系のニーズとのバランスを取りながら、水資源の長期的なサスティナビリティーを保証する。水ストレスの高いエリアにある農場は、最高水準の水源を積極的に管理し(例:Alliance for Water Stewardshipを使用)、不確実および極端で漸進的な変化を管理することで、気候変動からのレジリエンスを構築する。農場は水に関連する重要な地域(例:湿地帯)での転換を避ける。
9. エネルギー管理と温室効果ガス削減:エネルギー使用量と温室効果ガス排出量(森林破壊などの土地利用の変化による排出を含む)の測定、温室効果ガス削減目標の設定、エネルギー効率の最大化と再生可能エネルギーの利用、農作業や畜産場からの排出量の削減、大気汚染の回避により、気候変動に影響を及ぼすことを避ける。
10. 気候変動のレジリエンス:農場は自然や人々への新たな被害を回避しつつ、気候変動の現状および予測される影響に適切に対処するために気候関連のリスクを査定し、気候適応およびレジリエンス計画を有している。
11. 廃棄物管理:すべての廃棄物を分離および分類し、安全に保管と輸送と廃棄を行う。可能な限り廃棄物の削減および再利用とリサイクルを行い、農場で焼却したり、淡水生態系(河川および湖沼など)を経由して廃棄物を処分したりしない。農場からのプラスチック、液体廃棄物、肥料の土壌や水路への漏出を防止する。危険物の容器は適切に廃棄する。堆肥化などを含む、土壌の健全性を高める目的で有機廃棄物を適切に管理する手段がある。すべての廃棄物は、その分類によって個別に管理され、認可された場所または廃棄物処理の認可を受けたサービス業者を通じて処分される。
12. 森林の保全:持続可能な森林管理を推進し、森林破壊や違法伐採からの森林保護を支援する。新たな生産地は、森林や価値の高い保全地域を含む自然の生息地/生態系に設けず、また、野生生物の回廊や移動に使用されるルートを切断しない。新たな生産地への切り替えのために森林を伐採したり燃したりしないこと。土地の開墾のために意図的に火を使わない。
13. 自然生息地、生物多様性、生態系の保護:自然の生息地を特定し、切り替えから保護する手助けを行う。自然の生態系を変えたり、新しい生産物への切り替えのために燃やさない。衝撃や長期的な気候のストレッサーからのレジリエンスを構築するアプローチを通じ、生態系サービスの保護および可能な場合には回復を行い、自然の生息地、保護区、および自然受粉をする生物を含む生物多様性を促進し保護する。農場は絶滅危惧種を保護するための特別な措置をとる。
14. 土壌の管理:土壌を維持および改善し、劣化を防ぎ、温室効果ガス排出量を最小限に抑え、土壌の生物多様性を保護し、土壌の構造を強化する。統合された栄養管理アプローチに基づく栄養管理計画を実施し、「栄養保護の4R」を取り入れることで、土壌の質を維持および向上させ、大気と水と生物多様性への影響を最小化する。
15. 農薬管理:国や地域の規制や品質表示に従い、すべての農薬を安全かつ適切に使用し、農場の人々や環境を適切に保護する。操業国で禁止されている農薬や、国際条約で禁止されている農薬は使用および保管しない。すべての農薬は、人々の健康への悪影響を防止するために、農業資材が栽培されている国と、可能であれば、原材料として使用されている国の最大残留基準値(MRL)を尊重した方法で管理する。昆虫、雑草、病気などを含む、ただしこれらに限定されない有害生物の圧力から作物を保護するために使用するすべての製品は明確に文書化され、総合的病害虫管理システムの一部となっている。植物保護製品の使用はすべて、明確に正当化されている。
動物の健康と福祉
動物の健康と福祉の原則は、ザ コカ・コーラ カンパニーのための収穫や輸送作業に使用される動物や、農業原料や製品を生産するための家畜など、農場におけるすべての動物に適用される。
16. 動物の健康と福祉:動物は有資格者により、配慮および理解と敬意を持って扱われる。動物が健康であることを確認し、効果的な健康管理プログラムが実施される。農場における動物福祉の実践は、「5つの自由」(飢えと渇きからの自由、不快からの自由、痛み・傷害・病気からの自由、正常な行動を表現する自由、恐怖や抑圧からの自由)を含む、国際獣疫事務局の陸生動物衛生規約に従っている。労働者は、動物の健康と福祉に関する要求ついて定期的な研修を受けている。
17. 動物の栄養と飼料管理:動物には適切な量と質の飼料と水が与えられる。飼料サプライヤーは、原材料調達先の農場や地域を追跡できる。飼料の原料を生産している農場はPSAを満たし、飼料の栄養供給およびサスティナビリティーと安全性を確保する。飼料は品質を保ち汚染を避ける条件で保管される。
18. 肥料の管理:製品や環境の汚染を回避し、動物を不快にさせないように肥料を管理する。環境への影響を最小限にし、収集、保管、処理、移動、利用における栄養分の損失を抑えるために、肥料管理にベストプラクティスを組み込む。
19. 輸送の管理:動物の不快を最小限に抑え、傷害や抑圧の発生を回避し、病気の感染が起こらないように動物の輸送を手配する。
農場の管理システム
すべての製品および原材料の健康、安全、誠実、および農場システムの事業の完全性と経済のサスティナビリティーを確保するために、管理システムが整備され記録が維持されている。
20. 事業の健全性と経済のサスティナビリティー:関連する法律を尊重し、賄賂や不正行為を禁止して、誠実にビジネスを行う。生産コストを把握し、生産性と収益性を高めるために農場を管理することで、長期的な実行可能性を確保し、気候や市場などの変化へのレジリエンスを高める。他者と協力して共通の課題に取り組み、サスティナビリティーの実践を拡大する。
21. 食品の安全と衛生:食品安全と衛生のプロセスは、適用されるすべての法律と規制に従ってサプライチェーンにおける食品の安全と品質を確保するために設けられている。適切なプロセスとリスク評価を行い、生産や取り扱いにおける生物化学的および物理的リスクを回避し最小化する。
22. 収穫および収穫後の取り扱い:バリューチェーンに沿った損失と無駄を最小限にするために、収穫と収穫後の梱包、保管、輸送のプロセスを効果的に管理する。
23. 繁殖材料の識別および選択と取り扱い:持続可能な収穫と生産性を長期的に確保するために、作物と家畜の選択が地域の条件(気候、水の利用可能性、有害生物の圧力など)に適していることを確認する。該当する場合は、家畜と作物の種および品種を把握する。農場は記録を保持し、遺伝子組み換え作物/遺伝子組み換え作物ではないことを証明する。遺伝子組み換え作物を使用している場合は、規制に沿ったものであること。自然の遺伝的多様性が保存されていること。
24. 管理システムおよび記録保持と透明性:目的および手順と実践を管理し、サスティナビリティーの実践と改善を長期的に追跡するシステムを開発。実務と手順の記録、および適用されるすべての法律と規制の遵守の証明を維持する。サプライチェーン全体の透明性を高め、持続可能な慣行を取り入れ拡大するために協業する。改善のための目標を設定する。実現のための支援を提供し、パフォーマンスの追跡を長期的に行う。農場からボトラー社までのトレーサビリティを支える。