アルコール・ハラスメント
飲めない人への配慮を
生まれつきお酒に弱く、わずかのお酒でも顔が赤くなったり吐き気を訴える人がいます。これは、アセトアルデヒド(アルコールが肝臓で分解されたときに発生する毒性物質)を無毒化するアセトアルデヒド脱水素酵素が少ない、あるいは活性が弱いために起こる現象です。日本人はアセトアルデヒド脱水素酵素が少ない人が多いので、少量のお酒でもアセトアルデヒドが体内に蓄積され悪酔いしやすいのです。体質は生まれつきのものであり、努力で飲めるようになることはありません。飲めない人にお酒を無理強いするのは精神的、身体的に苦痛を与え、最悪の場合は死に至らしめることもある危険な行為です。
イッキ飲み強要は絶対にやめて
飲酒にまつわる人権侵害のことを「アルコール・ハラスメント(アルハラ)」といい、上下関係などを利用した心理的な圧力による「飲酒の強要」をはじめ、場を盛り上げるための「イッキ飲ませ」、「意図的な酔いつぶし」などの例があります。飲めないことをからかったりするなど「飲めない人への配慮の欠如」や、お酒の席であることを理由にした「酔ったうえでの迷惑行為」もアルハラです。
イッキ飲みのように短時間で大量の飲酒をすると、血中アルコール濃度が急激に上昇し、「ほろ酔い期」も「酩酊期」も飛び越して一気に「泥酔」「昏睡」の状態にまで進んでしまいます。この急性アルコール中毒は、低血圧、呼吸困難など危険な状態を引き起こし、ひどい場合には死に至る危険性があります。イッキ、イッキと飲ませ、急性アルコール中毒を起こさせた場合、強要した人は刑法上の犯罪として処罰されかねません。お酒の無理強いやイッキ飲みは絶対にやめましょう。
急性アルコール中毒で病院に運ばれる人は非常に多く、東京消防庁のデータによると、令和元年に東京都内において急性アルコール中毒で搬送された人数は18,212人に上ります。その半数が20代および20歳未満で占められ、新入社員や大学の新歓コンパなど、慣れていないお酒の席で起こりがちです。周囲の雰囲気に流され、無茶な飲酒をすることも一因です。
急性アルコール中毒者への対処法
• 意識がない場合(昏睡状態、反応がない)は救急車を手配する
• 一人にせず誰かが必ず付き添う
• 横向きに寝かせる
• ベルトなど身体を締め付けているものは外す
• 自分で吐けない場合は無理に吐かせない
• おう吐した時は吐しゃ物をよく拭き取る
• ときどきバイタルサイン(息をしているか、脈があるか)を確認する
• 体温が下がらないよう毛布や上着などをかける
• 可能ならば水やお茶、スポーツドリンクなどの水分を補給する。
Pick Up
- 飲酒後の入浴・運動
- アルコールに関するSNSコミュニティガイドライン
- 空腹時/速いペースの飲酒
- アルコールと薬の併用